戦略的連携や組織機敏性、ITダイナミック・ケイパビリティ(IT-DC)などの構成概念が、調査によって適切に測定されているかを確認しました。
- 因子分析による構成概念の検証
全観測変数を用いて因子分析(最尤法、プロマックス回転)を実施しました。スクリープロットとカイザー基準(固有値1以上)により因子数を決定し、因子負荷量のカットオフ基準を0.4としました。その結果、環境変化の認識、戦略的連携、組織機敏性、IT-DC、競争優位の五つの因子構造が支持されました。
- 高次因子構造の確認
IT-DCが「感知」「学習」「再構成」の三つの下位因子を持つ高次因子構造であるかを検証するため、二次因子分析を行いました。因子負荷量のカットオフを0.2とし、想定通りの構造が確認されました。
- 信頼性の評価
Cronbachのα係数とMcDonaldのω係数で内的一貫性を測定し、いずれも0.7以上の基準を満たしました。これにより各尺度の信頼性が担保されました。 - 妥当性の評価
平均分散抽出量(AVE)を用い、0.5以上を妥当性の基準としました。環境変化の認識に関する一部項目で基準を下回ったため、低水準の項目を除外し再計算したところ、基準を満たす結果となりました。
これらの検証により、本研究の測定尺度は信頼性と妥当性を確保し、構造方程式モデリング(SEM)による仮説検証の基礎として適切であることが示されました。