戦略的連携の競争優位 第3回

企業が戦略的連携に取り組むと、どんなメリットがあるのでしょうか。戦略的連携と企業成果との関係については、多くの研究が存在します。しかしながら、中小企業の戦略的連携に対する理解は、2つの側面ではまだ十分に深まっていません。

その一つは、戦略的連携がどのようなプロセスで競争優位につながるのか?ということです。日本の中小企業を対象に、これを解明しようとする定量的な実証研究は、事例研究に比べて極めて少ないのです。

もう一つは、戦略的連携の働きをダイナミック・ケイパビリティ(Dynamic Capabilities:DC)の考え方で捉えることです。DCは、Teece, Pisano and Shuen.(1997)の研究がきっかけとなり、近年注目されるようになった経営理論のひとつです。DCとは、「急速な環境変化に対処するために企業内外の能力を統合、構築、再構成することができる企業の能力」と原初的に定義されています(Teece et al., 1997)。DCアプローチへの経験的な支持と実務へのDCの応用は活発化している一方で、DCの解明はまだ十分ではありません。

環境変化に適応すべく戦略的連携に取り組む中小企業にとって、DCと戦略的連携との関わりについて理解することは大変有意義です。それは、もはや「持続的な」競争優位なんてものは幻想じゃないの?とも言われるこの時代に、 中小企業が勝ち残っていくためのヒントがそこにあるからです。

Teece, D. J., Pisano, G., & Shuen, A.(1997)Dynamic capabilities and strategic management.